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March 21, 2005

怒りや憎しみ

ヒルティが「眠られぬ夜のために」の第一部を出版したときは、68歳。
すでに、人生を振り返る時期だったのだろう。
今夜、ヒルティは断言している。
「私はこれまでに生涯に、怒りや憎しみを抱きつづけることはできなかった。」(岩波文庫:草間・大和訳)

…ほんまかいな。
あたしゃ、始終ぷんぷんしておるがな。

しかもそのうち、そういう感情は「突然取り去られた」り、「抱くこともなくな」ったそうです。
うらやましい。わたしも早く、そんな穏やかなおばあちゃんになりたいものです。

ヒルティは今日は詩篇62篇を示している。
「わたしの魂よ、沈黙して、ただ神に向かえ。
神にのみ、わたしは希望をおいている。
神はわたしの岩、わたしの救い、砦の塔。
わたしは動揺しない。」(6節7節)

「暴力に依存するな。
搾取をむなしく誇るな。
力が力を生むことに心を奪われるな」(11節)
(『新共同訳 聖書』)

クリスチャンを標榜するブッシュさんに読んであげたいですねー。

人間が怒りや憎しみに突き動かされて行動しても正しく判断ができるとは限らないので、
あなたはじっと黙っていて、判断は全部神様にまかせなさい、というのは、
旧約時代から新約聖書にいたるまで、多くの人たちが薦めてきた生きかたである。

恥ずかしいことをひとつ告白。
かつてある男性に、ものすごーく腹をたてたことがある。
幾度かメールのやりとりをしたことのある人だったのだけど、
あるとき、友人たちと共有しているホームページの掲示板に、
私あてにいかにも親密な様子の書き込みをされた。
好意を受けていたのだと思う。
でも、そのとき私は、すさまじい怒りを抱いてしまって、彼に暴言をたたきつけた。
また、彼を知る仲のいいゴスペル仲間の女友達に、そのことをメールし、彼女とその男性をあげつらっているうちに、
怒りが増幅されて、すさまじい炎となって、二人してめらめら、もくもく…となってしまった。
その間二人で取り交わしたメールの内容は…、もう人に見せられるようなものじゃないです。

そんなさなか、突然、私たちのゴスペル関係のメーリングリストに、
一通のメールが投げ込まれたのである。
ゴスペル仲間のひとりが、聖書の勉強会にいって聞いてきた話をシェアする、というメールだった。
そのメールには、こう書いていた。

「わたしの愛する兄弟たち、よくわきまえていなさい。
だれでも、聞くに早く、話すのに遅く、また怒るのに遅いようにしなさい。
人の怒りは神の義を実現しないからです。」(ヤコブの手紙1章19節・20節)

あまりのタイミングのよさに、
「まるで神様にいままでのやりとりを見られていたみたいじゃない?」と彼女にメールをすると、
「うん、気持ち悪いね。」と返信。
(あまり敬虔な会話じゃないですね。はは。)

しかも、そのメールには、怒りを処理するためには、「神の前で権利を放棄しなさい」と書いてあった。
なんだか奇妙な言い回しである。
私には、「なんのこっちゃ?」であった。
ところが、当時クリスチャンではなかった彼女が、さくっと理解して、私にこう解説してくれたのである。

「たぶん、それぞれが『自分の怒りは正当だ』って主張するのは、愚かしいってことだと思う。
彼も自分の立場を弁明するじゃない、あれ、すごい見苦しいもの。
でも、私たちも神様には同じに見えているんだと思う。
まー、そうは言っても、それぞれにもっともな主張があるとも思うのね。
結局それを判断できるのは、
全員の立場をぜーんぶ理解できる存在…うーん、まあキリスト教でいう『神』だけだってことだと思う。
私はもう、あとは神様にお任せして、ゴスペル歌ったり、おいしいもの食べたりして忘れることにするよ。」

私も結局彼女(と神様)の忠告に従うことにしたのだけど、
その男性に吐いた暴言は、もう取り戻せないでしょうね。
申し訳ないことをしました。

ちなみに、見事にみことばを解き明かしてくれた彼女は、
その一年半後には、イエス様に従って生きることを告白したのでした。
めでたしめでたし。

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