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March 13, 2005

『眠られぬ夜のために』について

日付とともに、
ヒルティ自身の信仰にもとづくエッセイと、賛美歌や聖書の引用が付されています。

1901年に第一部が刊行、
ヒルティ死後の1948年には、遺された草稿をもとに第二部が刊行されました。

ちなみに私の手元には、神田の古本屋の店先で手に入れた岩波文庫版の本書があります。
中扉に「増田蔵書」というおおきな蔵書印。
赤鉛筆でところどころ印がついています。
大きな丸印や、ごしごしと強い筆圧での波線。
増田さん。どんな人だったのでしょうね。
第一部のあとがきのページには「’76.4.19」
第二部には「’76.4.30 車中にて」との走り書き。
私が生まれる前の日付です。

この古書を手にいれたのは2001年の冬でした。
就職活動に汲々としていたこのころ、
神田のちいさな出版社に手紙を出し、
「就職させてください」とお願いしたところ、
社長みずから「一度いらっしゃい」との電話をもらったのでした。
胸はずませて、社長室の戸をたたいたのですが、
結論は、「今の状況ではこれ以上の雇用は無理です」とのことでした。
社長さんは、細身で白髪の紳士然とした人で、
彼が私の母校である中学高校の出身であること、
履歴書を見てそれを知り、直接話したかったとのこと、
好きな本のこと、出版不況の厳しさなど、
一時間ばかり、静かにお話しされました。

出版不況どころか、就職難のころ。
社長室を辞し、
神田の町をふらふらグルグルと歩き回って涙がひくのを
ぐっと待っていたのでした。

と、そこへ、「眠られぬ夜のために」の背表紙が目に飛び込んできたのです。
「ああ、まったくだまったくだ。今夜はまったく寝られねえ」と
つい中身も見ずに買ったのですが、
その後、きちんと開いて読んだのは、就職も決まってから一年以上もたってから。
その夜は…、熟睡したんでしょうね、きっと。

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