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March 17, 2005

最も美しい瞬間

キリスト教で言う「天国」とは、死んだ人がゆく「あの世」のことではなく、
この地上のすべてのものが滅び去って、神様が支配する世界になる、ということである
――ということを知ったのは、クリスチャンになってからである。(ははは)

道理で変だと思ってたよ。
子供のころ、ミッション系の幼稚園で暗記させられた「主の祈り」(イエスキリストが教えてくれたという祈りの言葉)には、
「み国を来たらせたまえ(天国をここに来させてください)」とある。
「天国」=「あの世」だったら、
「早く死ねますように」っていう意味になってしまうもの。

でもまあ、もしクリスチャンでない私の両親姉妹や、友人や、会社の同僚や上司に、いきなり
「早くこの世が滅び去って、天国が来るといいですねー」なんていおうものなら、
どうかしちゃったんじゃないか、と思われそうな気がする。
危険思想かも。

イエスの言う「天国」とは、
「きれいな音楽ときれいなお花があって、おいしいものがたくさん食べられるところ」ではないみたい。
「畑にまかれた小さな小さなからし種が、大きく大きく育って、空の鳥が巣をつくるような」ところ、とか、
「子供たちが最も大切にされる」国、とか、
なんだか、とても感覚的なものに思える。
そして、その「天国」はある日、こっそりやってきて、
人間同士では絶対に判断できないすべてのことを、神様が完璧に裁いてくれる、らしい。
今の私の視界からは、どの人のことも一部分しか見えていないから、
本当はだれがどうなって、なにが正しいのか分からなくなってしまっていることは、
みんなその日に解決する。

そう、私にとって、「天国が来る日」というのは、「すべてが分かる日」である。
なによりも、私なんかがどうして創られて、こうして生きていなきゃいけないのか、が、ようやくはっきりする日である。

イエス様は言った。「求めなさい」って。そして、約束してくれた。そうすれば「与えられます」って。
その約束を信じて、私はクリスチャンになった。

ヒルティは今夜眠れない人のために、この地上で天国を待つ心の楽しさを語る。
それはまるで、果実が実るのを心待ちにしながら、樹の花を見つめているみたいだよね、って。

「あらゆる幸福感のなかで最も美しい瞬間は、所有の瞬間ではなくて、それに先立つ瞬間、
すなわち、願望の実現が近づいて、すでに確実に見えはじめる時である。」
(岩波文庫、草間・大和訳)

いつか、答えがわかる日が来る。
きっときっと。
――そう思うと、たしかにすこし、うれしい。

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