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April 26, 2005

いつか分かる日がくるさ

昨日紹介した『ガンに生かされて』の前書きに、ヒルティ『眠られぬ夜のために』がが引用されていた。
おおお。なんたる偶然。

http://www.books-ruhe.co.jp/recommends/2005/03/ganniikasarete.htm

うつ病がまだ軽かった頃、一年間かけて、まるで牛が反芻するように読んでいた本に書かれていた言葉が浮かんだ。


「どうしたらすばらしい、愉快なことが楽しめるか」を問うかわりに、「今どんな善いこと、正しいことをなし得るか」をたずね、あるいは、この究局の目的のためにどのように自分の状態を改めたらよいかを絶えず問うことに、あなたの全思考力を向けているならば─あなたが住むこの世界について、全く違った、より満足すべき観念が得られるであろう。(中略)
そうなると、さしあたり、善を行う機会さえあれば(この機会がないことはまれだ)、あなたの生活がいくぶん苦しかろうと楽であろうと、また、あなたが健康であろうと病気であろうと、そんなことはこれまでより、ずっとどうでもよくなるだろう。(ヒルティ『眠られぬ夜のために』草間平作他訳/岩波文庫)

病に翻弄され続ける今、僕はこの言葉の持つ深い意味を心の奥底で理解する。

しかしまあ、古典の言葉とは、なんとさまざまな状況で受け取られることよ。
若輩者nikkouには、この言葉が死の直前の精一杯の日々を励ますものとなるとは、想像もできなかった。
読み手の人生の深み、彩りにしたがって、言葉も力を増すものだ。
古典の古典たる所以である。

だから、今は『眠られぬ夜のために』のなかで、なんだかよく分からない、ピンとこない、とかっとばしている箇所も、いずれ、「はっ」と思い当たるようになるのだろうね。
そう思うと、時間を重ね、歳を重ねてゆくのも悪くない。

今日のヒルティは、仕事論である。

4月26日『眠られぬ夜のために』
「どんな仕事でもすべて、長い間かかってまわりくどい『下準備』などはせず、
即座に、元気よくとりかからねばならない。
ただちに目標とする中心的な思想に向かって突進すべきである。
その場合、たいてい、重要な思想は、きわめて数少ないものである。
そうすれば、付随的な思想は、仕事をすすめる間に、おのずからそれにつけ加わって思い浮かぶものである。」
(岩波文庫:草間・大和訳)

今のわたしにできるのは、この忠告にしたがって、仕事には「即座に、元気よく」ということを試してみることだけ。
そうすればいつか、「なるほど『重要な思想は、きわめて数少ないもの』だなあ」と思うようになるのだろうか。
今はまだ、なにもかもがとっても大事に見えて、毎日、こっそり小さなパニックを繰り返している。

やれやれ。早く大人になりたい。

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