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April 09, 2005

いたずらに無益な心労にかまけない

4月9日『眠られぬ夜のために』

「なにかあなたにとって有害なことが、思いがけなく身に迫ってきたならば、これを防ぐために、まず常識の原則にしたがって直接できるだけのことをするがよい。つぎには…。」(岩波文庫版:草間・大和訳)

ヒルティといえば、仕事論、である。
ヒルティが日本で好まれる理由のひとつが、このきわめて実践的・理知的な仕事論だと思う。

今日のヒルティを読むと、さっそく試してみたくなる。
全文掲載したいところだけれど、訳者の著作権がまだ生きているので、NIKKOUなりの要約および解釈でご紹介したい。

トラブルがあったときの対処のしかた。

①「常識の原則に従って直接できるだけのことをする」。

②つぎに精神的・肉体的に「われらの主のみまえに身を投げ」る。

③そのときに口にしたいみことばは、ヨハネ福音書の15章7節か16章24節。

あなたがたがわたし(イエス・キリスト)につながっており、わたしの言葉があなたがたの内にいつもあるならば、望むものは何でも願いなさい。そうすればかなえられる。 (ヨハネ福音書15章7節:新共同訳『聖書』より)

今までは、あなたがたはわたし(イエス・キリスト)の名によっては何も願わなかった。願いなさい。そうすれば与えられ、あなたがたは喜びで満たされる。
(ヨハネ福音書16章24節:同)


④祈る。
(1)まず、正しい洞察が与えられるように。
(2)次に、「忍耐力」か「神の助力」が与えられるように。

⑤「それがすんだら、ふたたび安らかな気持ちで日々の仕事にかえり、いたずらに無益な心労にかまけないがよい」(岩波文庫版:草間・大和訳)

ものすごく簡単に言うと、

A できるだけのことはやる
B イエス様を信じて、「洞察」と「忍耐」と「神の助力」を祈る。
C あとは、気にしない。

ということだ。
最後の「あとは、気にしない(いたずらに無益な心労にかまけない)」ってのがいいね。
ある程度手を尽くしたら、ジタバタしたって始まらないときってあるもんね。

わたしの勤め先はキリスト教系でもなんでもない人文系の中堅出版社なのだけれど、会社の創立者について、こんなエピソードが残っている。

とにかくノンベエだった創立者は、最期を酒場のカウンターで迎えた。突然椅子から崩れ落ち、病院にかつぎこまれた時にはもう息をひきとっていたという。そのとき、彼の胸のポケットには一冊の手帳。そこには、こう書いていた。

「明日のことまで思い悩むな。明日のことは明日自らが思い悩む。その日の苦労は、その日だけで十分である。」(マタイ福音書6章34節)

磊落な性格で、多くの著者に慕われ(経理の人には嫌われ^^;)ていたという彼の胸の内には、その日その日の労苦がずっしりと詰まっていたのだろう。
だからこそ、彼もこのイエスのことばに勇気付けられたのかもしれない。
彼は、この一節をどこで拾ってきたのだろう。聖書を読んでいたら、いいな、と思う。

この出版社を、身内には一切関わらせず後輩たちに託して亡くなったその人の、後輩たちの末端に、今、わたしはいる。
創立者の顔を知る人は、もう社内にも数少ない。
当然わたしも知らない。
けれどもこのエピソードを知ったとき、なんだかふと、体温のぬくもりの残るバトンを受け取ったような気がした。

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Comments

nikkouさん、おはようございます。
私、TB間違えて2つつけていましたね。ごめんなさい。1つ削除してくださいね。
こちらにもTBつけていただいてありがとうございました。創立者の方のお話、いいお話です。人文系の出版社の社主の方には、ユニークで素晴らしい方が多いですね。山本七平さんの本も好きで、よく読みました(確か彼も無教会のクリスチャンホームの出身だったと思います)。
昨今、出版社の経営はたいへんと思いますが、よい本を作り続けてほしいと願っています。

Posted by: ゴトウ | November 03, 2005 at 07:49 AM

山本七平さん!
わたしにも、親しみ深い名前です。教会でも、家でもよく話題になります。
でも、まだ「日本人とユダヤ人」しか読んでいないや。

以前、山本さんと親交があった人に聞いた話で、
「山本さんは、出版業と、文筆家と、どちらが本業ですか?」とたずねたら、山本さんは「出版業です。」と答えられたんですって。
文筆家としてのほうが名高いのに、出版業に誇りを持っていたんだな、と、同業の末端のものとしては、ちょっとうれしかった。

未熟者ですが、もっと勉強して、神様と隣人に役立つ仕事をしたいと思います。

Posted by: nikkou | November 04, 2005 at 12:07 PM

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だから、明日のことまで思い悩むな。明日のことは明日自らが思い悩む。その日の苦労は、その日だけで十分である。 マタイによる福音書 6章34節(新共同訳) 「仕事をするうえでの座右の銘を書いてください」と座談会のプロフィール記入用紙にありました。「座右の銘」とは、過去にエラい人が言った言葉に感銘を受けて自分の行動の指針にするということですよね。でも、ないんです。いい言葉だなーと感じても「ふーん、そうか」と思う�... [Read More]

Tracked on November 01, 2005 at 11:00 PM

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