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June 13, 2005

『靖国問題』再び~わたしたち孫の世代

ウチのおじいちゃんは、本当のところ、どんな戦争をしてきたのだろう。
考えてみれば、一度もそんな話をしたことがない。

7年前、墓参りへの坂道を登るとき、
手を引いてあげようとしたら、祖父はがんとして拒んだ。
伯母が「おじいちゃんは陸軍だから。足腰が丈夫なの」とフォローしたのを覚えている。
彼は、20歳そこそこで中国に派兵されている。

先日、70代の老紳士とお茶をした。
彼は無教会のクリスチャンである。
彼もかつては軍国少年だった、という。
「天皇陛下のために死ぬんだ、と思っていた。
それが普通だった。
同世代もみんなそう思っていた。
今の若い人たちみたいに、何をしていいかわからない、という虚無感はなかった。」
と回想した。
そして、「今思えば危険だったな~と思う。あの時代は間違っていた」と何度も付け足した。

そう、おじいちゃんたちが戦争を語るとき、そこには「ねじれ」がある。

当時、日本は正しいと思っていた。
でも負けた。
今、あの当時の日本は間違っていたと思う。

というねじれ。

テレビや新聞で、韓国や中国の人たちは言う。
日本と違って、韓国や中国では家庭の中で戦争が語られてきた、と。

でも、韓国や中国の老人たちにはねじれがない。

当時、日本は間違っていると思っていた。
そして、われわれは日本に勝った。
今も、日本は間違っていると思う。

ほら。ストレートに繋がる。

日本の老人たちのねじれは、nikkouたちが想像するよりつらいのではないかと思う。
正しいと信じていたものは、実は正しくなかった、という結論から始めなければならない。
口も重くなるだろう。

だからなのか私たち孫の世代は、戦争の話を直接聞く機会が少ない。
核家族だったせいもあるかもしれない。
もちろん、学校の現代史では習っている。
でも、問題になった「強制連行」や「従軍慰安婦」は新聞で知った。
日本基督教団がなぜできたのか、とか、韓国のクリスチャンへの神社参拝の強制と迫害などを知ったのは、
本当にごく最近のことである。

すべて、活字の中の世界。
わたしたちのおじいちゃんおばあちゃんがその世界にいた人たちだ、ということを実感として持っていないのだ。

そこに、「靖国問題」を解く鍵があるのではないか、と思う。

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Comments

なるほど、と思いました。ねじれガ無い、と言うのは気分のいいものでしょうね。今まで分かりませんでした。ところで、さっき、「宗教は国家を超えられるか」を見つけて買ってきました。阿満と言う人は明学ですね。
日光ネットにもおじいさんがいたなんて、信じられないね。坂道を登りながら、いい、なんていうおじいさんが、いいね。なんだか目に浮かぶ。それにしても出版の構造と言うものは、奥が深い。

Posted by: k and s | June 13, 2005 at 05:39 PM

はやいですね~、阿満利麿さんの今月の学芸文庫新刊です。そうそう、明学なの。阿満さんは『日本人はなぜ無宗教か』(ちくま新書)など、名著が多いです。

Posted by: nikkou | June 13, 2005 at 06:59 PM

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