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July 23, 2005

道ばたの心地よいホテルで

7月23日『眠られぬ夜のために』第一部

「内的生活はいろいろな点で登山に似ている。
われわれは、案内人もなしに登山したり、あるいは道をよく知らない案内人をつれて、またザイルで体を結び合いもせずに無能な仲間と一緒に登山を企ててはならない。
しかしまた、元来登山のできない人にまで、一緒に高い山に登ることを求むべきではない。
そういうことは、お互いに不愉快のたねになるだけである。
むしろ、もっと低い土地で、道ばたの心地よいホテルならば、そのような人たちとも、親密に、互いに有益に交わることができるものである。」
(岩波文庫:草間・大和訳)


今日は人間関係について。

ヒルティの処世術は一貫していて、

①相手には押し付けがましくするな。
②自分は自分のペースを守れ。

ということである。
今日の「内的生活」(信仰生活のこと?)も、「登山」のように、
①それぞれのペースで登れ、
②人には依存するな、
ということがポイントなんだろう。

人間と神が常に一対一で対峙するクリスチャンの発想ゆえかもしれない。

面白いのは最後の一文。
交流は「道ばたの心地よいホテルで」。
これを読んでいて、「内的生活」とはちょっとそれるけれど、思い出したことがあるので、書いてみたい。

高校生のころである。
修学旅行で京都に行くこととなった。
学校側の手抜きか、はたまた「自由」を尊ぶ校風ゆえか
現地では「班別自由行動」となっていた。

nikkouは例によって「群れない女の子」だったので、いきなり班の結成にあぶれた。
とはいえ、イジメられていたわけではないので、ある女の子たちのグループが情けをかけてくれた。
ただし、
「わたしたち、もうプランがあるから、邪魔しないでね」という条件つきで。

ちなみに彼女達のプランとは、
「京都タワーに登ってカラオケして嵐山で買い物をして抹茶パフェを食べる」
というものであった。
で、nikkouのプランは
「文学(オタク)散歩」。
……
…まじめちゃんですね~、今だったら抹茶パフェだなー。

そんなnikkouのプランは、学校への提出用として利用され、
nikkouは班からあぶれずにすみ、
互いの利害が一致したところで、仲良く現地入り。
集合場所と時間を決めて、別行動、となった。

当日までに吉川英治『新平家物語』と橋本治『窯変源氏物語』を耽読していったnikkouにとって、
京都は満足度100%であった。
光源氏と六条御息所の別れの舞台となった野々宮神社では黒鳥居と竹林にウットリし、
芭蕉の弟子其角の庵、「落柿舎」では一句したためて投句し、
八坂神社の境内に清盛の妻の祇園女御塚をみつけて、おしっこを漏らしそうなくらい興奮し
   ……ああ、…へんな女子高校生。

彼女達もきっと、京都抹茶パフェを堪能していたことでしょう、めでたしめでたし…
…とはいかないのが、おばかな高校生である。

東京に戻る前日、慣れない土地の交通機関に右往左往するうちに、
nikkouは待ち合わせ時間に遅刻、宿の門限にも遅れ、
nikkouの単独行動が先生たちにバレてしまったのである。

班の全員に反省文の提出を求められ
「推薦入試の内申点に響く」と泣くやつあり、
「あたしたちが、何を反省しなきゃいけないの!?」と切れるやつあり、
nikkouはなんだかすごい悪者になってしまい、
てんやわんやでありました。

っていうか、「班別自由行動」ってむりですよ、先生。
大人じゃ、趣味の違う人間同士、徒党組んで旅行なんか、絶対しないでしょうよ。

どーしたって趣味のあわない人っている。
どちらが正しいとか誤っているとかいうレベルじゃなくって。

たとえばnikkouだって、ある種の音楽には感動しないし、
数式を見て「美しい」とか「醜い」とか言う人たちの美意識には、ごめんなさい、わかりません、である。

それは言葉で説明しても無理なんである。
全国有数の進学校であったnikkouの高校では、
小林秀雄がつらつら「平家物語」の美意識をつづっても、
「さっぱりわからない」と言いつつ、現代文のテストの成績はきちんととれる同級生が山のようにいた。

だから、
ヒルティの言うように、
「道端の心地よいホテル」で和気藹々しているのが賢明。
…って、今日はだいぶ曲解した?

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