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July 28, 2005

冷淡な人が好き

7月28日『眠られぬ夜のために』第一部

「幸福と名誉はいわば女性である。
彼女たちは、彼女たちを追いかけないで、むしろいくらか冷淡に扱う人を求める」
(岩波文庫:草間・大和訳)

なんだか、分かったような分からないような・・・。
わたしの蔵書の前の持ち主である増田さんは、この項目に赤二重丸をしている。

しかし「冷淡な人」を求めるということなら、
男のほうがずっと顕著じゃありませんか。
かつて流行った『ルール』という恋愛指南書では、「モテる女になるには、男に冷淡にしろ」とはっきり書いてあったぞ(笑)。

一行あいて、ヒルティは続ける。
ちょっと長いので要約すると、

「人には親切にしろ」しかし、「人に多くを要求したり期待したりするな」、
「そうすれば、人生の大きな苦痛を最もたやすくのがれることができる」

と、いつものとおりの処世術である。
ところが。
今日のヒルティはちょっとちがうのだ。
いわく、

「ただし、また大きな喜びをのがすことにもなろう。」

って、
   …………えっ!!
              今までと話がちがうじゃん。

さらに
「あなたが大きな喜び得たいと思うなら」
相手に期待したり要求したりしない、なんてことしなくていい、
とわざわざ念押しの一行まで。

ちなみに、nikkouには、「人には要求せず、期待せず」という人間関係のほうが、ずっと楽である。
人とは浅く、薄く。
それは、たしかに、「苦痛」の少ない生活である。
親切にはしてあげるけど、あんまりわたしに干渉しないでね、という関係だから。
nikkouが恋愛にオクテだったのも、そのあたりに根がある気がする。
「冷淡な人」を求める傾向は、nikkouにもあったのだけど、
それは、「冷淡な人」は干渉してこないからだ。
熱く関わるとなると、
相手の期待と要求に応えられない自分の精神的な未熟さがどんどん浮き彫りになっていく。
のみならず、期待と要求に応えてくれない相手の未熟さもイライラの元凶になる。
それに堪えうるか否か、ええい、面倒だっ!最初から可能性のない「冷淡な人」にあこがれているほうが楽だ!みたいな。

しかし、そうか、ヒルティ爺さん。
そういう関係に「大きな喜び」はないか。
では、nikkouも、愛する人たちに期待と要求を突きつけていこうじゃないか。
その代わり、nikkouも、相手の期待と要求に応えていかねばならないんだろうな。
期待と要求を注ぎあって堪えあって、
ある日、どっかーんと爆発して、ぶつかって、がちゃがちゃ言い争って、罵り合って、
でも、その後仲直りして、期待と要求をすこし変えたり妥協したりして、みたいな熱い関係、トライしてみようか。

と決意したところで、
さらにヒルティはひとこと。

「もっとも、だれでもそういう喜びを得るにふさわしいとは限らない。」
…って、
えー。

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