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October 15, 2005

ドイツ報告その5 原書は買えなかった

『眠られぬ夜のために』第一部

「8月17日

およそ安息は神から贈られたものでなくてはならない。
あなたが勝手に安息を取ってはならない。
老年においても、さらに病気のときもそうである。
しかし、一般に命じられており、たいてい今日ではだれにでも許されている休息、
すなわち、夜半前からの眠りと日曜日とを、一貫して利用しなさい。
これは十分な休息感を得るのにたいへん役立ち、また、そのうえ神の祝福が与えられる。」

(岩波文庫:草間・大和訳)

ヒルティの原書がほしい、と意気込んで出かけたのだが、
買えなかった。

理由はふたつある。
まず、書店がなかなか見つからなかった。
書店に限らず、わたしたちが訪れた街は、全体的に、とても娯楽的な場所が少なかった。

ドイツも、かつて、戦争で多くの街が破壊された。
日本は東京の焼け野原に、巨大なビル群を建設した。
FH000008
しかし、ドイツ人は、崩された瓦礫を拾い集め、そっくりそのまま、建て直したという。
文字通りの「復興」、「復建」だったわけである。
だから、ドイツには、いまだに14世紀、15世紀の街並みがそっくり残っている。
石造りと、木の家との違いかもしれないけれど、
結果的に、そんな街のなかに、
パチンコ屋も映画館もコンビニも入る隙がなくなった。
マクドナルドさえ、ひっそり、白い文字を掲げている。
東京によくあるような大型書店もCDショップもレンタルビデオ屋もなかなか目にしないのである。
もちろん、フランクフルトなどの大都会にゆけばまた違う、とのことであるが、
それでも、東京には遠く及ばない、大方のドイツの町はこんなもんだ、という。
FH000014

第二に、週末にあたってしまった、ということがある。
ドイツでは、安息日をきっちり守る、ということが、法律に明記されているそうである。
日曜日は、礼拝を守る日(実際に守っている人は、もう少ないそうであるが)。
だから、お店は開けない。
マインツでようやく見つけた書店も、日曜日だったので、しっかりシャッターが降りていた。

ツアーのガイドさんに言わせると、
休日祝日関わりなく、複数の映画館で複数の映画がかかり、コンサートが開かれ、演劇が見られ、書店とCD店とレンタルビデオ屋とコンビニが深夜まで開いている、という街は、
世界でもまれだそうだ。
日本でも、東京と大阪くらい。
ましてや、世界のほとんどの街は、キリスト教だろうがユダヤ教だろうがイスラム教だろうが、
夜の休む時間と、週の休む日は、きっちり守るんだそうだ。
FH000009
だから、ドイツでは娯楽が少ない。
子供たちは時おり回ってくる移動動物園やサーカスを心待ちにしているし、
大人たちは、年に一度のビール祭りで、
芸能人が来るでもない、豪華な景品が出るでもない、ただ「飲む」という一日を、心から楽しむという。

おお、that'sスローライフ!
そんなにはたらいて、どうすんのさ、ってか。


と、感心したのも、ドイツにいる間だけ。
日本に帰るやいなや、
祝日の夜更け、コンビニで調達した食品で夕食を済ましてしまって、あわれnikkouは軟弱なトーキョーっ子なのでありました。

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Comments

深く味わうと、日本が嫌になり、好きになり、混乱するね。大体日本の文化は、根本的に南方文化ですね。一人ひとりの心情に、より濃い先祖の血がインプットされているのでしょう。日本の祭りは、それをよくあらわしていませんか。キリスト教はやはり根本的には乾燥的な貧困文化でしょう。日本のクリスチャンとしては、禁欲的になる自分の身の置き場も無いと感じるときがままありますね。

Posted by: ks | October 16, 2005 at 09:46 AM

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