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November 30, 2005

「萌え」は日本を救うか!?

11月27日『眠られぬ夜のために』第一部

「何事によらず、その事をくわしく知り、それに通じることは結局よい結果を生む。
無知はその反対である。
この世界をも、そのいろいろな性質・要素をできるだけ完全に知ることによってわれわれのものとすべきである。」

(中略)

「…きわめて数多い女性が、自分が無益な生活をしているという深刻な、しかも日々つのりゆく感情に苦しめられて、本当の心身の健康に到りえず、それどころか、今持っている健康さえも、そのことを絶えず気にするあまり損なったり、ついには全く失ってしまうということは、きわめて当然である。
彼女たちに対して医師はなによりもまずこう言うべきであろう、
『働きなさい。あなた方も、他の人たちと同様に、働くのが使命であり、義務なのです。(以下略)』」

(岩波文庫・草間・大和訳)

仕事が忙しい。
年末ですな。
なので、nikkouは朝型生活にチャレンジすることにした。帰宅したら、すぐ寝る!すぐ起きる!三日坊主に終わらん事を。

さて、日付がちょっとさかのぼるけれど、ヒルティの「女性は働くべきだ」という上記の主張、100年前のスイスではどのような意味を持っていたのだろう。

日本の女性が社会で働き始めたのは、ここ数十年来のことだ、というのは、自分の母親世代を見ているとよく分かる。わたしの子ども時代は、ほとんどのお家のお母さんは専業主婦だった。
わたし自身は男女雇用機会均等法以降に就職した女子で、未婚で、平社員なので、女性の先輩たちが体験してきたような試練をまだ知らない。時代を切り開いてきた先輩たちに敬意を表し、彼女たちに学んでいきたいと思う。

moeruotoko
さて、現在『萌える男』(本田透・ちくま新書)を読んでいる。
この中に、
女性が経済的に自立した現代、家族を維持するのは経済的な依存関係ではなく、わたしたちは「より良い関係を築くことができる」という理想を共有することだ、という一節がある。

「萌える男」というのは、いわゆるアキバ系オタク青年のことなのだけれど、この本で「萌え」に対峙される思想が、「キリスト教」と「恋愛資本主義」というので、面白く読んだ。
このテの本は「説得力があるかどうか」がキモであって、「正しいか正しくないか」ということは検証のしようがない。だから、nikkouには、本当のところはよく分からないのだけれど、ものすごーーくはしょって、かつ易しく紹介してみよう。

romiotojuriet
本田いわく、
もともと、日本に「恋愛」という概念はなかった。
(nikkou注:坂口安吾も、中世の恋愛とは、「不義密通」であり、心中や刑罰の対象であった、と書いていた。)
それが、近代になって、キリスト教文化とともに「恋愛」という概念が流入。理想的な男女関係として紹介される。(ex.北村透谷)
キリスト教では、人間のアイデンティティは唯一絶対の神に保証される。そうした関係性の中で、男女関係も安定するのだ、という。
(nikkou注:要は、「この人は神様の大切な人だ」という認識があって、はじめて人は「互いに愛しあう」ことができる、というわけでしょうか。)
しかし、神への信仰なき時代に入ると、自分のアイデンティティを人間に保証してもらわなければならなくなる。
(nikkou注:つまり、彼氏や彼女に「あなたはステキだ」「あなたは大切な人」と認めてもらわなければ、人は精神的に不安定になる、というわけ。ううっ思い当たるなあ。)
しかし、人は神ではないので、そうそう無条件に他人を愛せないし、そうそう「ステキ」な人なんてのも存在しない。
そこで、日本は80年代に入って「恋愛資本主義」なるものによって「モテるものとモテないもの」に二分される。「ステキな男・女」になるための「モテ・テク」やら、それに付け入った消費活動やらが隆盛を極める。
そうした「恋愛資本主義」に背を向けた男たちが、現実に存在しない人物(アニメとかゲーム・キャラクター)に想像上の恋愛をすることで自我を安定させる「萌え」に行きついたのが現代――なんだそうだ。

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本田透は、この現代日本の「愛」なき状況を救うのは「萌え」だ!「萌え」がアニメなどの二次元から現実世界の三次元にフィードバックされれば、「愛」は復活する!と気炎をあげるのだけれど…うーん、無理じゃないでしょうか。
だって、アニメみたいな、かわいくって超癒し系の女の子を現実に求められても、困るもん。

以前、女性のための聖書セミナー「Women's conforence」で講師が「白馬に乗った王子様は現れません!あなたの伴侶となる人は、あなたと同じ、主にあって罪びとである人間です!」と言い放っていたが、あれは「萌えるな!」という警告だったのか!?

クリスチャンであるnikkouには、やっぱり「恋愛」の基本に返って、「恋愛」とともに日本に入ってきながら日本に定着しなかった「キリスト教」、いや、主イエスの愛のあり方を、日本人が自分のものとして消化していくことが、一番確実でかつ、早道なんじゃないか、という気がする。

でも、もはや日本には「恋愛資本主義」が蔓延して、
かく言うnikkouも、思いっきりその価値観に洗脳されてきて、たいそう苦しんだので、
戦いは困難?と思ったりもする。
主よ、この国の人びとを、愛したまえ。

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Comments

一気に読みました。

スピード感抜群。

本の中身もよくわかるし、日光さんの考え方、悩み、先行き、理想、経験などもわかる。

久しぶりに書いたからでしょう、文章にキレがあった。

さらなる次回を期待。

あんまり働き過ぎないようにね。

Posted by: sugiyama | November 30, 2005 at 05:56 PM

うーん、「日本に恋愛はなかった」という前提はちょっと違うんじゃないでしょうか。私の曽曽祖父は、隣家に養子に行って、出戻ってきた子連れの義理の姉と大恋愛の末、結婚したそうです。もちろん江戸時代。イナカにはこのテの話は結構あって、けっこう自由恋愛を謳歌していたみたいです。恋愛という発想がなかったのは元武士階級以上で、そこにターゲットを絞ってプロテスタント系キリスト教が入ろうとしたからでは。安土桃山時代のカトリックのような宣教スタイルであればまた少し違った展開があったような気もします。

Posted by: ゴトウ | November 30, 2005 at 10:58 PM

>祖父上

ありがとうございます。忙しいのは年末年始までです。がんばります。

>ゴトウさん

あ、そういえば、万葉も古今も恋愛の歌がたんまりあるな…と、日本文学専修で国語教科書編集者のnikkou、いまさらのように思い出す。…日文の友人たちはブログを読みながら突っ込んでいたことだろう。なはは。再考します。

Posted by: nikkou | December 01, 2005 at 10:14 AM

――というわけで、仕事の合間合間に「ラムネ氏のこと」(坂口安吾)を読み返してみると、これはまさに中世のカトリックの宣教師たちが「アモール」に対する訳語に困却、「愛」と訳すと不義の意味になってしまうというので、「お大切」と訳した、というエピソードであります。ということは、やっぱり当時、武士階級に限らず日本に「祝福されるものとしての『恋愛』」をあらわす語彙がなかった、ということなのではないか…と
もんもんとしながら、校閲部の元部長と昼食に。
そこで、この疑問について話してみたところ、
「そりゃあ、あなたは現代の若者で、しかもクリスチャンだから、北村透谷以降の『恋愛』しかしらないでしょうけれど、近世以前の村社会や、万葉やら古今やらのそういうのと、近代の『恋愛』とは別物ですよ」とあっさり。「どう違うんですか?」と聞いたら、「まあ、お調べになれば、結構生産的なんじゃないですか」とのこと。
…はい。勉強します。

ちなみに。
そんな話をした喫茶店に、ゴトウさんのブログにあった鶏ジャグを発見!マスターに聞くと、外国のお土産で、ナンに使うのかよく分からずに飾っておいた、とのことでした。

Posted by: nikkou | December 01, 2005 at 01:35 PM

nikkouさん、さっそくの調査の成果を教えていただきありがとうございます! そうかー、そうすると紫式部の「もののあはれ」は祝福されなかったということですね。そういえばしょっちゅうあの人たち泣いてますものね。勉強の成果も楽しみにしてます。
鶏ジャグ! 東京にもあったんですね。感涙。
ただ飾ってあったなんてもったいない。いつか鶏ジャグを手に入れることを、将来の目標の一つにしたいと思います。

Posted by: ゴトウ | December 01, 2005 at 09:47 PM

うぃーっす。勉強しまーす。
とりあえず、北村透谷からはじめてみます。
まあ、ぼちぼちとですが(…っていきなり腰がひきぎみ)。

Posted by: nikkou | December 01, 2005 at 11:57 PM

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