« 「兵隊宿」 | Main | 「つまずきの石」になっちゃったかも! »

November 03, 2005

神様と相思相愛

『眠られぬ夜のために』第一部

「11月3日

人間がこの世で達成することができ、また人のために役立つものは、
神への愛、したがってあらゆる真と善に対する愛であり、
また共に生をうけているすべての者に対するまことの親切である。」
(岩波文庫・草間・大和訳)

イエスのことばに、人間にとって最も大切なことは、
①神を愛すること。
②隣人を愛すること。
というのがある。(マタイによる福音書22章37節~39節)
今日のヒルティも、これをもとにしている。
ノン・クリスチャンのころ、nikkouはそのことばを聞いて、
「②の隣人を愛すること、というのは分かるが、①の神を愛する、っていうのは、具体的にどういうことだ?」と思った。
今夜、ヒルティを読んでいて、そのときの気持ちを久しぶりに思い出した。やっぱり、真剣に悩むってのはいいね。後で思い出したときに、いつの間にか、ちゃんと主は答えてくれていたんだな、って気づくから。

okasannobaka
というわけで、今日も、神と人が互いに愛し合っている瞬間を捉えた一冊を紹介したい。
『おかあさんのばか』(写真・細江英公、被写体と詩・古田幸、窓社)。
40年前のひとりの女の子の日常を写したドキュメント写真集である。
古田幸ちゃん。小学校6年生。お母さんが病死して、お父さんとおにいちゃんと3人暮らしである。
お母さんが死んで1ヵ月後、幸ちゃんはお母さんの死を詩につづり、お父さんがそれを新聞に投稿する。その詩を見た写真家が、幸ちゃんの日常を撮影したい、と訪れたそうである。

突然主婦を任ぜられて、幸ちゃんは張り詰めた表情で、洗濯をし、お買い物をし、お料理をし、仏壇の掃除をしている。40年前の日本だから家事労働も手作業だし、決して豊かではないし、失礼だけれど、彼女自身美少女でもなんでもない。すごく、地味な写真集だ。変に同情を誘う感じでもないし。でも、なんだか目が離せなくなるような、強い力がある。

この中に、幸ちゃんの、こんな詩がある。

「教会の神様

おかあさんが死んでから
さびしい日がおおい。
おとうさんやおにいさんは
神様なんていないというけれど
私はやっぱり神様をしんじる。
教会へ来てよかったな。
神様に聞いてほしいことがいっぱいある。
神様に力になってもらいたいこともある。
教会へ行くと
私はおかあさんにあえるような気がする。」

そして、お父さんの添え書き。

「妻も私も、あまり信心のいいほうではなかった。妻が意識不明で眠り続けていた時、苦しい時の神頼みから、水天宮のお守りをもらって妻の心臓にはったものだった。幸は、クラスメートから、教会にいくようすすめられ、私に相談した。私には、とめる権利などあるはずもない。日曜日の朝の幸の顔は、別人のように生き生きとしている。」

お母さんが亡くなって、お父さんもおにいちゃんも、幸ちゃんに気を使っているし、幸ちゃんも、二人を支えようと必死である。「おかあさんのばか!」と叫んでも、お母さんだって辛いだろう。お母さんも好きで死んだんじゃないし。

でも、神様は、お母さんのことも、お父さんのことも、おにいちゃんのことも、そしてもちろん、幸ちゃんのことも、よく知っているし、大切に思っていて、とっても心配しているよ――ということを、教会のだれかが、教えてくれたのかもしれない。

「私はやっぱり神様をしんじる。」
「神様に聞いてほしいことがいっぱいある。」

という幸ちゃんの言葉は、神様への、愛の告白だ。

「神を愛せ」というのは、もう、これだけで十分なんじゃないかな、とnikkouは思う。
幸ちゃんが、大人になっても、神様を愛し続けたかどうかは、分からない。
でも、幸ちゃんが苦しかったひととき、神様と相思相愛になって、幸ちゃんのささやかな生活が守られた、というだけで、nikkouは、神様に感謝の気持ちでいっぱいだ。

|

« 「兵隊宿」 | Main | 「つまずきの石」になっちゃったかも! »

「2 眠られぬ夜のために」カテゴリの記事

「書籍・雑誌」カテゴリの記事

Comments

すばらしい本を、どこでどういう経緯で、探せたのでしょうね。

40年前か。グーーときます祖父ネット。

きっと買って、読みます。

コンサートの準備も、大変でしょう。今地図で場所を確認しました。

Posted by: kkss | November 04, 2005 at 07:27 AM

ごめん。
泣いちゃったよ。

Posted by: たま | November 05, 2005 at 01:40 AM

>祖父上

本屋で偶然。偶然ってことはないよね。主が「これ、みて」って見せてくれたのかな。
ぜひ、手にとって見てください。祖父上は40年前は、何をしてらっしゃいましたか?

コンサート、お待ちしています。練習、がんばってますよ~

>たまちゃん

nikkouも、幸ちゃんの写真をはじめて見たときは、本屋のど真ん中で、泣きそうになった。
記事を書くために、この詩を読んだら、また泣きそうになった。

幸ちゃんを心配しているお父さんの表情とか、家族3人の笑顔とかが、またいいんだ。
「神の国は、あなたがたの間に」っていうとおり、こういう、小さな生活の中に、神の国がふっと、顔を覗かせるのかな、と思ったりする。

Posted by: nikkou | November 05, 2005 at 08:27 AM

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/91294/6884099

Listed below are links to weblogs that reference 神様と相思相愛:

« 「兵隊宿」 | Main | 「つまずきの石」になっちゃったかも! »