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January 14, 2006

ライフスタイルフォーラム

1月15日『眠られぬ夜のために』第二部

「われわれが毎日、まのあたりに見ている現在の世界秩序には、多くの欠陥があると思わずにいられない。
このことは、とりわけ、無数の人たちの物質的および道徳的悲惨を見たり、
また人間以外の被造物に対して、ほとんど処罰も受けずに加えられている虐待ぶりを見る時、
疑う余地がない。
本当に善良な素質を備えた多くの人びとが、このために無神論者になってゆく。(以下略)」

(岩波文庫・草間・大和訳)

今日は、「ライフスタイルフォーラム」で「わたしにできる食べること」を聞いてきた。(今はやりの、「スローライフ」提唱者のひとりである文化人類学者の辻信一さんと、無農薬野菜を宅配する「大地を守る会」会長・藤田和芳さん、そして、岩手のおしょうゆやさん・河野和義さんの鼎談。)

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辻さんの講演会というのは、いつも20~30代とおぼしき聴衆が多い。
「スローライフ」というキーワードは、環境問題や社会運動などを、なにやら楽しげでおしゃれなイメージにすることに成功しているのかもしれない。
…のだけれど、巷ではイメージが一人歩きしてしまって、辻さんは不本意かもしれないけれど、「時間とお金とセンスのある主婦がやること」というイメージにもなっている気がする。ある男性雑誌では、「モテる男」の条件のひとつに「スローライフについて語れる(ただし実践してはならない)」と書いてあって、ちょっと笑った。

nikkouの仕事である国語教科書では、「環境問題」は必須のテーマである。
どの学年でも、必ず、「自然を大切にしましょう」という話が出てくる。
高校の場合は、たいがい、文明批判から始まって、結論は次のうちのどれかになる。

1.現代人は、利便さを追求するあまり、なにか大切な何かを見失ってしまったのではないだろうかー。
2.いまや、環境問題は、一国を超えて、世界規模で考えなければならなくなっているのであるー。
3.環境問題は、ひとりひとりが考えていかなければならないことであるー。

教科書は、このなかのどれかを言えば「環境問題」は正解・・・というマニュアルをつくり上げてきてしまった。

しかし、教科書を作っていてこんなことを言うのもなんだが、どれももっともであって、うそくさい。
だって、教科書を読んでいるのは、現代人が「大切な何かを見失ってしまった」後に生まれた子どもたちだし、
「世界規模」の問題解決を、10代の子どもに迫っても、無力感をあおるだけだし、
「ひとりひとりが考えていかなければ」をパラフレーズすると、「わたし以外のひとりひとりが、考えてくれると助かります」になる気がする。

結果、「自然は大切です」という建前と、「でも、わたしとは関係ないです」という本音の生徒が、国語教育を受けた学校ではぞろぞろ生まれる、というしくみになっているんです。すみません。

辻さんたちの運動というのは、
要するに、そういう「建前」を、「建前」にせず、ちゃんと、生活の中で実践していきたい、ということなんだろう。

しかし、すでに「大切なものを見失ってしまった」現代、「世界規模」の問題を、「ひとりひとりが考えていく」って、具体的になんなんだ。
無農薬・国産の野菜や調味料を使い、エアコンは低めに設定し、時々キャンドルナイトを実践し、自動車ではなくなるべく歩くことが、はたして解決になるんだろうか。
・・・ということを、考えている人(nikkouも含めて)のために、
辻さんは講演会でよく、「ハチドリのひとしずく」という話を語る。南米の民話だそうだ。
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「森が燃えていました。森のいきものたちは、われ先にと逃げていきました。でもクリキンディという名のハチドリだけは、いったりきたり、くちばしで水のしずくを一滴ずつ運んでは、火の上に落としていきます。動物たちがそれを見て『そんなことをしていったい何になるんだ』と言って笑います。クリキンディはこう答えました。『私は、私にできることをしてくるだけ。』」(「ハチドリのひとしずく」監修・辻信一、光文社)

ちなみに本日のヒルティの、結論を簡潔にまとめると、こういうことになる。

1.過去や現在がひどくっても、将来のことはだれもわからない。
2.どんな事情の中にあっても、「愛」があれば、絶対不幸にはならない。

家族や、この国や、地球上の隣人と被造物を愛していて、将来について悲観的にならず、できることをすこしずつ実践していけば、環境問題も、解決する日がくる、かも、しれない。というと、まさに「教科書的」ですが。

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Comments

私が学生のころ、白金教会の人でトヨタに努めていた人がいました。私の頭の中には自動車環境問題があり、自動車のセールスマンにはなりませんでした。キャンバスには大々的に自動車会社の就職キャンペーンが張られていましたが、無視しました。日曜礼拝には車で行っていましたから、なにおかいわんや。環境問題は新しい問題ではないと思います。自分に出来ることをコツコツやって、神のもとで希望を持って生きていきましょう。有縁ネットが感謝していました。すぎ

Posted by: kkkkssss | January 15, 2006 at 03:26 PM

杉山さんが学生時代って、日本がどんどん産業化してて、経済も高度成長の真っ最中でしょ?
そんな時代に「自動車」を環境からとらえて批判的だった、というのは、変わっているほうではないですか。さすがです。

こつこつやって、神のもとで、希望をもって。アーメンです。

有縁ネットでは、アニメ「蛍の墓」を中国の、娘をもつお父さんが見て書いた感想を、訳して掲載しておられて、なんというか・・・とても複雑な気持ちになって、ついコメントしたのでした。

(有縁ネット)
http://henmi42.cocolog-nifty.com/yijianyeye/2006/01/post_89ff.html

(元ネタ)
http://bbs6.news.163.com/board/index.html?url=http%3A//bbs6.news.163.com/board/rep.jsp%3Fb%3Dzhongri%26i%3D355808%26p%3D0

こうやって、タラント(能力)のある人が、世界を広げてくれるのは、ほんとうにありがたいことですね。

Posted by: nikkou | January 15, 2006 at 09:48 PM

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