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April 21, 2006

教科書現状

『眠られぬ夜のために』第二部

「4月20日


「神は、神を愛する者たちとともに働いて、万事を益となるようにしてくださる。」(ローマ人への手紙8章28節)
これこそ、正当な、しかも長持ちする楽観主義(オプティミズム)である。
このようなことを、われわれは生涯において、それが単なる『偶然』とのみは思われないほど、たびたび経験するものである。」

(岩波文庫・草間・大和訳)


「長持ちする楽観主義」とは味な言い方。
ここに引用されている聖書のことばが好きな人は多い。
パウロのことばだが、とても苦労した人なので、たぶん実感のこもったひと言なのだろうと思う。

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さて、今週ようやく、文部科学省に教科書を提出してきた。
あまり知られていないことだけれど、教科書というのは毎年ちょこちょこと改訂されていて、そのつど検定を受ける。芥川龍之介「羅生門」や夏目漱石「こころ」など、長い間変わらない教材もあるけれど、評論などは世界の情勢や科学の発展にともなって、ころころ変わっている。
ちなみに現在の高校の国語教科書は、評論文が主流で、文学作品は敬遠される傾向にある。
テーマも思想・哲学から、経済、国際問題、環境、身体、生命倫理、科学…と幅広い。
おそらく大学入試の影響だろう。
先生たちも大変だろうけれど、作るほうもしんどい。

今回の編集過程でつくづく思ったのは、
自分にも専門分野が必要だな~ということである。
文学や現代思想についてのひととおりの知識と教養はもっていて当たり前。
加えて、何か特化したものを持っていないと、この職場では役立たずになってしまう。
いや、実際、今回「ああ、わたしってば、役立たずだわ」というプレッシャーは相当強かった。
手持ちの知識ではもう、いっぱいいっぱいです。
勉強しなくちゃ。

ところで、最近、教科書の営業活動に関して、規制緩和がなされることになった。
教科書売り込みの規制緩和 公取委、特殊指定廃止へ
先生へのプレゼントも解禁。
マスコミと資本をバックにつけた某右派教科書の謀略という噂もあるけれど、
その点は、わが編集部は楽観的。
カネとマスコミに踊らされるほど、教育者の知性と倫理は貧しくない!はず…だよねー、先生。

それよりも問題なのは、現在10社弱ある高校の国語教科書がどれも、すこぶる似てきたことである。
弊社の教科書は比較的左傾といわれてきたのだけれど、
近年、思想性のある教科書は(右・左かかわらず)敬遠されるうえに、
方向性の見えない現代の状況では、明快な結論も示しにくいのか、毒のない、あたりさわりのない文章が中心になってきている。

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ああ、そうすると、やっぱり差別化は、中身じゃなくって、営業力、となってしまうかもしれないか…。
「時代閉塞だなー、石川啄木だなー」と
昨日、上司がぼやいていました。
こんな時代に、なにを目指して勉強すればいいんだろうか。

友人に話したら、教科書において、閉塞状況が打破できるよう、またそのためにnikkouが用いられるよう、祈ってくれた。
ありがとう。
右でもなく左でもなく、時代にめげない、しなやかで強靭な知性がほしい。
こんな時代に教科書を作る役回りを与えられたのも、
いつか、「万事益とされる」んだろうか。
なんの具体的な方策もないんだけれど、とりあえずは
かくなるために、パウロの言うとおり、「神を愛する者」となろう。

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「2 眠られぬ夜のために」カテゴリの記事

Comments

教科書作りは本当に大変でしょうね。
「作る側の思い」と「行政の思い」は必ずしも一致しないのではないですか?
「竹島」の新聞記事を見ていても、つくづくそう思います。
ところで、我が家には1歳8ヶ月の子供がいるので、毎日のように教育テレビの子供番組を観さされて(むしろ最近はこっちから望んで観てるかも)います。
「にほんごであそぼ」という番組が有りますが、あれは面白いです。多分、子供に見せつつ、親にも勉強してもらおうとの意図があるのかなと思います。4月に入ってから、番組の最後に子供たちが歌う歌が変わりました。
詞に使っている文章は、誰の文章から引用したのか私は知らないのですが、好きなのでここに書いときます。
「南無釈迦じゃ
 娑婆じゃ地獄じゃ 苦じゃ楽じゃ
 どうじゃこうじゃと言うが愚かじゃ」

Posted by: ahilland | April 21, 2006 at 11:45 PM

「作る側の思い」と「行政側の思い」と、そして、「教師の思い」なんですよね。
作る側としては、「行政側の思い」である検定が通るように指導要領をにらみつつ、売れないで赤字ということがないように「教師」の本音を読み込んで、ゆとり教育の中での受験勉強に役立つ教科書、という、なんとも矛盾したものを作っていくはめになります。

お子さんをもつ友人には教わるものが多いです。
なんだか面白そうな歌ですね。
一度、テレビで見てみたいと思います。

Posted by: nikkou | April 24, 2006 at 12:52 AM

私を雇って!

Posted by: ゴトウ | April 26, 2006 at 09:43 PM

うっほほ~
ゴトウさん、ドイツからの書き込みですねー。
ゴトウさんが編集部にいたら…
頼もしいかもっ!?

Posted by: nikkou | April 26, 2006 at 11:15 PM

nikkouさん残念でした。もう帰国しました。編集部では役に立たないかもしれませんが、販売はまかせてください。 「もっとちゃんと営業したら売れるのにー!」と思う本がありすぎて!

Posted by: ゴトウ | April 26, 2006 at 11:40 PM

あっ!おかえりなさーい!
(公開携帯メールか!?)
早かったですねー。

販売のコツ、いや、肝、ぜひご伝授ください。nikkkouも、5月中旬から、教科書販売のため、高校廻りです。これがきついんだ、ひーっ!

Posted by: nikkou | April 27, 2006 at 12:01 AM

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