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June 11, 2006

最近の若者は

『眠られぬ夜のために』第二部

「6月10日

 善への進歩・向上には、いろんな段階があって、すべての段階がおなじようなものだとはかぎらない。
だから、キリスト教団、さらには教会全体を、ひとりの牧者を先頭に立てた、どれもが一様な羊のむれのように想像するのは非常なまちがいである。
(中略)
すべての個々のたましいは、それぞれまったく独自な精神存在であり、
また、そのようなものとして取り扱われることを喜びとするものである。
画一主義からは、えてして精神の欠如と、偽善さえもが生じる。
(以下略)」

(筑摩叢書:前田敬作訳)

最近になって気づいたのだけれど、イエスは、結構ケース・バイ・ケースである。
相手の顔をみて、言う事を考えている。
だから、時々矛盾する。
ある時は、ある男の人に、「全財産を売り払って、貧しい人にほどこせ」と言う。
それを弟子たちが覚えていて、別の女の人に「あなたはその財産を売り払って、貧しい人にほどこさなきゃいけない」といったりする。
でもイエス様は「この人は、そんなことをしなくてもいい。この人はもっと大切なことをしている」なんて言う。
たぶん、イエスは血の通わないルールを作ることを避けようとしているんだと思う。
イエスに学んだパウロも同じようなところがある。
一貫しているのは、「あなたを愛している」ということだ。

ヒルティのいうとおり、「クリスチャンはかくあるべし」と画一化すると、偽善くさくなる。
個々人が、神様との間で、どうあるべきか考えて生きてゆくのがベストというわけだ。

nikkouは、わりと昔から、ひとからげにしたりされたりするのは嫌いなほうだったと思う。
子供のころ、同年輩の子が「大人って汚い」なんぞと臭い言葉を吐こうものなら、
「『大人』じゃなくって、『何年何組の担任の誰先生が汚い』だろう?お前は20歳以上の人間全員を知ってるのかよ」なんて絡んでいやがられた。

Socrates
この年齢になって時々聞くのが「最近の若者は」である。
そう言われたときは、「ソクラテスの時代から、そういいますよね」と答えよ、というのがお約束だけど。
先日ある飲み会で、非常にお上品なご年配の男性が
「最近の若者は、葛藤というものがないんじゃないでしょうかね~」とおっしゃるので、
「っか!んなこたぁねえだろ!」(←原文ママ)と突っ込んで、
周りからたしなめられた。(酔ってても、記憶は絶対飛ばないnikkou。)

Photo_1
「最近の若者は」って言い過ぎると、管理社会のわなにひっかかるよ、ということを指摘したのが、この本。
『「ニート」って言うな!』(光文社新書/本田由紀・内藤朝雄・後藤和智)

「右派の論壇は、自分らしさ重視の教育が何をしたいのかわからない甘ったれ若者を生んだのだから、教育基本法と憲法を変え、若者に適切な職業観や社会観を教え、徴兵制でも敷けばフリーターもニートも解決するという、わかりやすい言い方をする。
一方、左派も現代の家庭や教育批判として、子供に適切な愛を注がないから少年犯罪が起こると言う。しかし「完全な家族」論などというものは個人的な感情によるところが大きいし、そもそも少年による凶悪犯罪はピーク時の60年代と比べて大幅に減少しています。」(後藤和智「THE BIG ISSU」より)

要は、「ニート」とは誰を指しているのか、いわゆる家事手伝いのお嬢さんや、過密労働で心身不調になって退職した人もカウントしているんではないか。
また「ニート」が存在する原因は、不景気のせいもあるし、大学4年生しか就職活動をできないうえにそこで失敗したらリベンジできないという企業の雇用形態のせいもあるし、若者が企業で終身雇用を勤め上げることに意味を見出さなくなってきたのかもしれない。
それを、「最近の若者」がすべて悪い、ことにしてしまっても、何の解決にもならないでしょ、マスコミが流している「キレル若者」像は虚像かもしれないでしょ、という本でした。

Photo_2
「最近の若者より、今の60代が若かったころのほうが危険」ということを、コミカルにシニカルに書いているのが、『反社会学講座』(イーストプレス/パオロ・マッツァリーノ)。これも面白かった。

同じひとからげにされるんでも、「最近の若者には、希望が持てるね。」とたまには言われてみたいものです。

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Comments

nikkouさん、私も20代前半の頃は「まさか自分が40代のオバサンになるなんて!」夢にも思っていませんでした。それで基本的なところが何か変わってるか、というといまだ変わってないし…。(先日、久々に母教会のメンバーと飲んで「いつも遅刻してくるヤツだった」と言われました。いまだに礼拝にも約束にも遅刻する)
世代の雰囲気と、時代の空気いうものはあるとはいえ、最終的には個人ですよね。
私もワルいオバサンにならないよう自戒します。

Posted by: ゴトウ | June 11, 2006 at 08:26 AM

>ゴトウさん

いやあ、ゴトウさんはnikkouには目標というかモデルとなる大人ですわ。
ゴトウさんのブログを見たnikkouの友人が、「なんか、nikkouさんと似てる」とゆってくれました。いやはや、そんなんものすごく恐れ多いですけれど、ほんと、ゴトウさんたちの世代って、わたしたち20代後半~30代にとって、モデルケースなんですよ。
そんなわけで、期待申し上げてますよ!

Posted by: nikkou | June 11, 2006 at 11:20 PM

いつの間にか「ニート」って言葉、定着化してますよね・・・・
でも、その一言で括れるほど物事は単純ではないし、その実情を探るのも難しいです。

>要は、「ニート」とは誰を指しているのか、いわゆる家事手伝いのお嬢さんや、過密労働で心身不調になって退職した人もカウントしているんではないか。

nikkouさん、鋭い指摘です。
恥ずかしながら、今の統計・調査を見渡しても「ニート」と断定できる数字はありません。
よく『学校基本調査』の「卒業後の状況調査」の「左記以外」が該当するの?って言われてますが、=ニートじゃないんですよね・・・「死亡・不詳の者」にも入ってるかもしれないし・・・・

レールから外れてしまったあらゆる人たちをじっぱひとからげに「ニート」でくくっている以上、正確な数字を把握するのは難しいのが現状です。
最初からやる気のない「ニート」。現実の冷たさに絶望してしまって「ニート」化した人。
大まかにこの二つに分けて政策を立案しないと意味ないですよね・・・

「近頃の若者は~」と言われるとムキになる一方、最近の修学旅行生を見かけると「近頃の中高生は・・・」と思わずぼやいてしまう自分、要注意です・・・・

Posted by: かみかみ | June 12, 2006 at 12:27 AM

>かみかみさん

おおお。素晴らしいまとめ。
そう、「(いわゆる)ニート」問題は、政治や社会の経済の問題なのに、不確定な数字をもとに、精神論に走っちゃっているのがやばい、ということなんですよね。

nikkouは、今日、学校営業まわりをしながら、「うほほ~女子高生、か~わい~」と鼻の下のばしてました…って、逆に要注意か。

Posted by: nikkou | June 12, 2006 at 07:24 PM

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