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October 09, 2006

ミャンマーの「真理」

『眠られぬ夜のために』第二部

「10月8日

われわれは、人間や世界について多くのことをまなび
知れば知るほど、
キリストの人間知の偉大さにおどろき、
また、この人間知のかわりにべつな世界観を立てようとする人たちの愚かさに
おどろかざるをえない。」

(筑摩叢書:前田敬作訳)

みなさま、ごぶさたしておりました。
帰宅してからも、本ばかり読んでおりました。
なにを読んでいたか、というと、じゃーん、ミャンマー(ビルマ)関係書です。
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左上から
*『ミャンマーの柳生一族』
 高柳秀行・集英社文庫・2006年3月25日
 (初出「小説すばる」2004年8月~2005年10月)
*『ビルマ軍事政権とアウンサンスーチー』
 田辺寿夫・根本敬・角川Oneテーマ21・2003年5月10日
*『ミャンマーという国への旅』
 エマ・ラーキン・大石健太郎訳・晶文社・2005年8月30日
 (著者がミャンマーを訪れたのは1995年)
*『マヌサーリー』
 ミンテインカ・高橋ゆり訳・てらいんく・2004年8月10日
 (原著の初版は1976年)
*『自由―自ら綴った祖国愛の記録』
 アウンサンスーチー著・マイケル・アリス(アウンサンスーチーの夫)編
 ヤンソン由実子訳・集英社・1991年12月20日
*『変わりゆくのはこの世のことわり マウン・ルーエイ物語』
 テイッパン・マウン・ワ著・高橋ゆり訳
 てらいんく・2001年3月20日
 (原著は1930年~1941年に発表)
*『ミャンマーの実像―日本大使が見た親日国』
 山口洋一・勁草書房・1999年8月30日
(著者がミャンマーに滞在したのは1995年)
*『希望の声』
 アウンサンスーチー著・大石幹夫訳・岩波書店・2000年7月26日

で、ミャンマー(ビルマ)についてなにか分かったか、と申しますと、
読めば読むほど、分からなくなる!というのが正直な感想です。
旧約聖書の『コヘレトの言葉(伝道の書)』を思い出しました。

「知恵が深まれば悩みも深まり
知識が増せば痛みも増す」

(1章18節)

最初の2冊めを読み終わったときは、「もー、ミャンマーのことはなんでも分かった!」と思いました。
「軍事政権」という言葉のおどろおどろしさと裏腹に、東南アジア特有のなんくるないさー感がたゆたう、微温的な国。
でも、子どもの駄々のような軍部のてきとーさによる経済破綻と人権侵害に国民はうんざりしていて、
そんな中で、東洋の精神性と西洋の知性が融合した才女アウンサンスーチーが民主化運動を進めている国。
その軍部は日本が戦時中にイギリスからの独立をけしかけてこさえたそうな…。

ところが、3冊め『ミャンマーという国への旅』にきて、ふと、不安になりました。
この本が描くのは、軍部による文化人への激しい迫害や、教育の崩壊、そして恐怖。先の2冊は、表面的な理解だったのだろうか。それともこの本が極端なのか。
さらに4冊目『マヌサーリー』を読んで、途方にくれました。
ミャンマーで最も人気のある小説だそうですが、nikkou、この小説の面白さが、さーっぱり分からなかったのであります。

アウンサンスーチーの『自由』に描かれていたのは「発展途上国、最貧国ビルマ」ではなく、王朝文化と仏教の倫理観に培われた豊かな国であり、今は、アメリカ型資本主義でも、もちろん高圧的な軍事政権ではない、最善を求めて歩み続ける一つの国でありました。

今、『変わりゆくのはこの世のことわり』を読んでいるところ。70年前の小説ですが、これはちょっと面白い。
次に『ミャンマーの実像』を読もうと思っている。
『ミャンマーという国への旅』と同時期のミャンマーに滞在した日本大使の記録です。
ぱらっとめくったところ、「ミャンマーに人権侵害はない、軍事政権はたいへんよろしくやっている、アウンサンスーチーにだまされてはいけない」的な主張のようであります。今まで読んできた本と真逆の主張のようです。
200610091228000

以上、どの本も、それぞれミャンマーの一面なのでしょうが、読めば読むほど、全体は分からなくなる。
だいたいにして、日本人の私たちだって、日本の現状と日本の将来のことなんかそう的確に分かっているわけじゃないです。ましてや、外国の現状と将来なんて、わかるはずがない。

「コヘレトの言葉」とか「ヨブ記」なんかでは、よく、「人間には、なーんも分からないのさ」ということが主張されている。限られた期間、限られた場所、限られた人しか、知らないのに、知ったようなことなど、言えるだろうか。

イエスの言葉、「わたしの言葉にとどまるならば、あなたたちは本当にわたしの弟子である。あなたたちは真理を知り、真理はあなたたちを自由にする。」(ヨハネによる福音書8章31節32節)も思い出されました。

「真理」というのは、つまり、「人間には、なーんも分からないのさ、知っているのは『永遠の主なる神』だけなのさ」ということなのかしら、と思います。
「ああ、わたし、なーんも分からんわ」と思うと、確かに、偏見や傲慢さからは「自由」になれますな。

では、nikkouには何が出来るのか。
主イエスの言葉にとどまるならば、やはり「あなたの隣人を愛せ」だろうと思う。
ユーミンちゃんがどんな立場であろうと、どんな考えだろうと、nikkouはユーミンちゃんの「best friend」だ。(←ユーミンちゃんが、そう言ってくれた)。ミャンマーはユーミンちゃんの国で、nikkouには、何も口出しできない。
ただ、日本にいる間、日本のいいところも、もちろん悪いところも、できるかぎり案内してあげようと思う。
そして、ユーミンちゃんのミャンマーでの活躍に、少しでも役立てればいいと思う。

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Comments

こちらでは初めまして、taejeonです。
韓国ネタは少し知っていますが、ミャンマーについては何もわかりません。
私たちは、アジアの国々についてもう少し知らなくてはなりませんね。
確かに聖書はいたずらな知識を諭していますけど、世界を知った上でイエスの偉大さがわかるというのもまた真理ですね。
ところでこのブログ、ゴスペルの証しも楽しいし、ブックレビューもさすが。何よりも、ヒルティの言葉がいい。
というわけで、私めのサイトからリンクを貼らせていただければ幸いです。
God bless you, amen.

Posted by: taejeon | October 09, 2006 at 04:30 PM

わ、てじょんさん、コメントありがとうございます。
韓国のこと、尹東柱のこと、いつも色々と教えてくださってありがとうございます。
てじょんさんのブログ「紫の衣」、左の「nikkouのお友達」のリストに加えておきました。これからもよろしくお願いいたします。

Posted by: nikkou | October 09, 2006 at 09:23 PM

nikkouさん、ミャンマー漬けだったんですね。「わからない」同感です。
前にちらっとお話した伊豆の民宿のミャンマー人おかみさんは、現政権に迫害されている人で日本に政治亡命してきた人たちの世話役のようなことをしていました(現在どうかわかりませんが)。彼女によると、「ミャンマー」は正しくなくて「ビルマ」だそうです。でも、日本にいるミャンマー人もいろいろと政治的立場が違うので、みんな仲良くというわけにはいかないらしい。
アウン・サン・スー・チーさんもずっと海外で教育を受けた人で、ミャンマー人の代表と呼べるのかも難しそう。で、自宅軟禁っていうところがやっぱりゆるいですよね。

どうなんでしょう? でも、言論の自由があるかどうかでいえば、やっぱり現在のミャンマーには問題があるような気がします。

Posted by: ゴトウ | October 09, 2006 at 09:23 PM

ゴトウさん

さすが、よくご存知で。
nikkouは、これらの本を読むまで、「ミャンマー」と「ビルマ」の違いを知りませんでした。ちょうど「日本」と「ジャパン」みたいなものだそうですね。国内ではずっと「ミャンマー」と呼んでいたそうですが、軍事政権が対外的にも「ミャンマー」と呼ばせよう、と決めたそうです。でも軍事政権に反対の人は、対外的には「ビルマ」と呼ぶとか。とはいえ、「ビルマ」はイギリスの植民地時代の呼称だから、そのほうを快く思わない人もいるそうで。なんだかとても複雑。

nikkouも、どんなに好意的に書かれている本でも、今のミャンマーがベストだとは思えなかったなー。

Posted by: nikkou | October 10, 2006 at 10:35 PM

リンク貼らせてもらいました。こちらでも貼っていただき、感謝です。
ところで後から思い出したのですが……
うちの教会はバプテストなんですが、こないだ8月末に鹿児島で全国大会があって出かけてきました。その時に、閉会の派遣礼拝で説教をしてくれたのが、国分教会のマウマウタン牧師。
最初お会いした時に、名前といい風貌といい、モンゴルかな、それとも沖縄かな、とか思っていたら、なんとミャンマーの方でした。「正解に当ててもらったことがない」とおっしゃっていました。
ミャンマーにももちろん教会とかクリスチャンはいるのですね。というか、日本に比べれば世界中どこでももっといるのかも……(^^;
ちなみに説教は「主の招き」というタイトルでイエスのお入り用とされたロバのお話。立派な日本語の良い説教でしたよ。

Posted by: taejeon | October 10, 2006 at 11:10 PM

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