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November 28, 2006

愛されている物語

『眠られぬ夜のために』第二部

「11月28日

  すべてを神に
ときおり勇気がくじけようとも
かたく、かたく神に頼れ、わが心よ、
自分の勇気でなしとげたものはなに一つない、
おのが勇気をたのむな。
そうすればおまえの一生の道は転じて、
みめぐみが注ぎはじめる。

そうすれば、主の力はいやまさり、
もはや古きおまえでない
おまえの姿の中で、主がはたらかれ、
闇と光、
人間とキリストとが
ぶっつかり合うことはない。」

(岩波文庫・草間・大和訳)

…草間先生、大和先生、名訳であります。すばらしい。

Nodame
ある朝、会社のエレベーターの中で、先輩から「のだめカンタービレを見てたらnikkouを思い出した!」といわれた。(ただし、上野樹里に似ているという意味ではないらしい…。)

「のだめカンタービレって、どんなんですか?」と聞くと、
「んーと、すごい変。」
「に、nikkou、変ですか?」
「あ、ちがうちがう、のだめが変なの」
「でも、今、のだめとnikkouは似ているって…」
「……(笑)。」

なんだ、その「(笑)」は。
だいたい周囲の心情に頓着しない無神経な登場人物が出てくると「nikkouに似ている」と言われるので、いや~な予感を持ちながら、読んでみました「のだめカンタービレ」。

…なんだ、かわいーじゃないですかぁ、のだめちゃん。

今や、すっぽりはまってしまって、繰り返し繰り返し読んでいます。
なにがいいかって、のだめちゃんは、周囲のひとたちにとっても愛されているんだよね。多少の試練はあるけれど、いつもどこへ行っても彼女を愛する人がいる。

最近ずっとアウンサンスーチーさんの関連書を読んでいたから、とくに気が晴れ晴れするのかも。たとえフィクションでも、やはり、虐げられている物語より、愛されている物語のほうが、元気になる気がする。

アウンサンスーチーさん、批判的な本も含めて読んで、やっぱり素晴しい人だな、と思った。虐げられた生活の中でも、「慈悲」をもって、豊かな国にしていきたい、という訴える言葉には、胸打たれる。
だから、ビルマ(ミャンマー)の民主化が進みますように、と祈ってやまないし、応援している。

Kibounokoe
ただ、一つだけだけ。アウンサンスーチーさんの宗教観から、「上座部仏教って自分にきびしいなあ…」という印象は持った。
インタビュー集『希望の声』のなかでは、アウンサンスーチーさん、こんなことを言っている。

(民主化運動に必要なものは?という問いに)「働くこと、行動すること、そして自分に頼ること。(中略)自分に頼ることは、とても仏教的です。わたしたちには『結局、頼れるのは自分だけだ』ということわざがあります。」(p188下段)

なんだか今日のヒルティの「おのが勇気に頼るな」という言い方と対照的な印象です。
どっちがいいとか悪いとかじゃなくって、ただ、考え方の違いがよく出ているなー、という感じ。
アウンサンスーチーさんはネルソン・マンデラ氏やキング牧師とはまた違った形で、人々を率いて社会を変革していくのかもしれないな、と思う。とっても大変だろうけど、なんだか楽しみな気がする。

この運動に必要なのは「尽きることのないあわれみと力がその人に備わっていることが必要です。」と言うアウサンスーチーさんの、力の源は、やはり周囲の人たちの愛情なんだそうだ。
厳しい状況のなかで、家族や仲間たちの愛情の話は、やっぱり読んでいて元気になった。
主よ、この正しい人に、豊かに豊かに尽きることのない愛を注いで、その働きを助けてください。
敬虔な仏教徒のアウンサンスーチーさんのために、ヤハウエの神に祈る、というのも妙な感じだけれど、
彼女は、「クリスチャンがいう『神は愛なり』とはすべての宗教の核心だ」とも言っているのだから、ゆるしてもらえるんじゃないかな、と思う。

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