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April 11, 2012

奇跡も語る者がいなければ

『眠られぬ夜のために』第一部 「栄誉の辞退が世間に知れわたることを熱心に期待しながら、それをするような人は、すこしも謙遜とはいえない。しかも、たいてい、そんな底意を世間では気づくまいという甘い考えをいだいているのだ。」 (岩波文庫 草間平作・大和邦太郎訳)

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ごぶさたです。
もう、本当に忙しくて忙しくて、自分のブログさえ開く暇もありませんでした。
このごろ、ようやく一段落。
ブログもぼちぼち再開していきたいと思います。

さて、
3月には昇天者記念礼拝(教会につながる人で、すでに召された人たちを記念する礼拝)、
そして、4月8日はイースター礼拝でありました。
面白いことにどちらでも、60年前の戦争の話を聞くことができました。
貴重な証言だと思いますので、ここに書き留めて、みなさんにシェアしたいと思います。

まずは、昇天者記念礼拝でのお話。
礼拝に、山本れい子さん(山本七平夫人)と、妹さん3名の4姉妹が礼拝に参加、
ことばづかいや身のこなしに、昭和の令嬢たちの雰囲気が漂っていて、とても興味深く感じました。
ただ、一番面白かったのは、
長女れい子さんが、食事のあとに、つと立ち上がってなさった
姉妹のご両親、宝田一蔵・あいご夫妻の思い出話でありました。

宝田一蔵氏は、無教会クリスチャンだったそうで、
新潟から上京直後はお金がなかったために、無教会の伝道所の「今井館」に寝泊まりしたそうで、このブログの読者の方には、直接ご存じのかたもおられるかもしれません。
戦争では、海軍として徴兵され、魚雷を積んだ戦艦に乗ったそうですが、
サメのうようよいる南方の海で、
アメリカ軍の放った砲弾を浴びる事態に遭遇したそうです。
戦艦内は大パニック、砲弾にあたって死ぬか、放り出されてサメの餌食になるか、もはやこれまで、と上へ下への大さわぎのさなか、
ある若い兵士が、ふと、宝田氏の様子に目を留めたそうであります。
宝田氏、戦艦内のパニックをよそに、ベットに腰かけ、この状況下まさかの「聖書」を膝に、じーっと祈っていた。
その若い兵士は、「宝田さんは、クリスチャンであったか、クリスチャンってのは、すごいものだ、肝の据わり方がちがう。」と、強い衝撃を受けた。
砲弾は幸い船にあたらず、そのまま敗戦を迎えて、無事帰国。
この兵士は、復員後、すぐにクリスチャンとなり、家族全員にも、クリスチャンとなるように勧め、
さらに、宝田氏の伝道旅行にもつき従ったとのこと。
れい子さん、いわく、
「わたしたちは、言葉でなんとかしよう、なんとか福音をつたえよう、としなくても、
行動で、自然に、神様のすばらしさがにじみでるようになることで
一人の人を、福音に導くことができる。
そういうことを、父から学びました。
彼ひとり、福音に導くことが出来ただけで、
父は、生きた甲斐があったと思います。」

さらに、母あいさんの話。
戦後、夫に従って子供たちをつれ新潟にもどり、
慣れない畑仕事を始めた。
苦しい毎日のなか、鍬を担いでの帰り道、ふと、微笑みが漏れた、といいます。
「あら、わたしなんで微笑んだのかしら」とあぜ道で立ち止まった。
「ああ、そうか、イエス様のことを考えていたからだ。」
そこであいさん、帰るなり、紙に墨書きで「宝田あい 聖書集会」と書き、
その場にいたれい子さんと妹さんのお一人に
「これを、町の電信柱に貼ってきなさい」と命じたそうであります。
「今みたいに、接着剤なんてありませんから、米粒で貼るんですの。それはもう、恥ずかしくて恥ずかしくて。」とれい子さん。
あとで、あいさんも「あのとき、本当ははずかしくて、あなたたちに貼りに行ってもらったの。ごめんなさいね」とおっしゃったそうです。それでも、聖書集会をしようとおもったのは、

「戦地から引き揚げて来て、わたしより辛い思いをしてい人たちは、いまたくさんいる。
そういう人たちを、励ましたかったの。
だから、聖書集会をすることにしたの。」
聖書集会がきっと人を励ます、とまっすぐ信じた、
なかなか、現代には聴くことのない、まるでおとぎ話のようにまっすぐな信仰の証言でありました。

イースター礼拝では、
藤尾正人さんのお話を聞きました。
これはまたあらためて。

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